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高学年児童の学童保育のニーズへの対応について<継続質問>令和7年12月議会

  • 執筆者の写真: 西村ゆみ
    西村ゆみ
  • 4 日前
  • 読了時間: 8分

質問④<継続質問>高学年児童の学童保育ニーズへの対応について


<私の質問>

 

これまで私は、低学年児童の詰め込み問題と地域格差を中心に取り上げ、改善を求めてきました。

 

市の取り組みにより、民間学童の誘致が進んだ結果、低学年については多くの地域で混雑が一定改善してきました。

 

しかしその過程で、これまで優先順位の影に隠れていた 高学年の預け先不足が、保護者会資料・民間学童事業者の声・市民アンケートの全てから共通して浮かび上がってきました。

 

特に民間学童からは、高学年の受け入れ希望は非常に多いが、すでに定員を大きく超えておりお断りせざるを得ないという状況が複数寄せられています。

 

一方、市が子ども・子育て計画策定時に行ったアンケートでは、7割が自宅で過ごすと回答しており、市はこれをもとに高学年児童ニーズは少ないと判断したとのことでした。

 

しかし、市のアンケートは現状の過ごし方を尋ねたものであり、本当はどうしたいかという潜在ニーズは捉えられていません。

 

実際、私が独自に実施したアンケートでは、高槻市在住44名の保護者のうち、小学1年生12名、小学2年1名、小学3年生7名、小学4年生以上の高学年、24名生のうち 98%が高学年の学童利用を希望 または検討していました。

 

アンケートにて書かれている言葉で一番多かった内容は、

 

共働き家庭で小学校4年生を一人で留守番をさせるのは不安でした。

 

つまり、市のアンケートで「自宅」と答えた多くの家庭は、預け先がないので仕方なく自宅を選択している可能性が考えられます。

 

さらに注目すべき点として、平成27年の児童福祉法改正により、学童保育の対象は

「概ね10歳未満」から「小学生」に拡大されました。

 

高槻市と同じ北摂の自治体を見ると、箕面市・吹田市・豊中市・枚方市など、多くがすでに 小4まで、またはそれ以上の学年の受け入れを整備 しています。

 

これらの自治体に事前に電話で確認したところ、いずれも平成27年の法改正を受けて拡大したと回答されました。

 

高槻市はこの点で北摂の中でも対応が遅れている状況です。

 

そこで質問です。

 

国の方針、北摂各市の状況、そして高槻市内のニーズを踏まえ、せめて小学校4年生までを学童保育の対象とする方向で検討できないでしょうか?

 

<答  弁>

 

 学童保育での小学校4年生までを対象とした受入れについて、ご答弁いたします。 西村議員から「高槻市はこの点で北摂の中でも対応が遅れている状況です。」といったご指摘を頂いていますが、本市におきましては、平成27年の児童福祉法改正に対応すべく、「学童保育のあり方等に関する基本方針」に基づき、4年生から6年生の高学年児童が適切な保育を民間学童保育室で受けられるよう、現在、本方針を受けた取組みの4年目として、すでに設置促進など着実に取り組んでおります。 なお、本方針策定に当たっては、市の附属機関「子ども・子育て会議」で審議が行われ、4年生までの公立学童保育室での受入れの可能性なども含め多角的にご議論・検討は尽くされております

 

<2問目の質問>

 

子ども・子育て会議の議事録をすべて確認いたしました。

 

市はこれまで、「子ども・子育て会議において議論は尽くされている」と答弁されていますが、私が議事録を確認する限り、その内容は必ずしも多角的な議論とは言い難いものと受け止めています。

 

具体的には、方針策定の過程において、

 

「高学年は民間学童保育室で対応する」という市の方針が示され、委員の皆様に報告・共有される場面が中心でありました。

 

第2回の会議では、委員から不足している部分への追加対策について質問があり、それに対して事務局が民間学童保育室の設置促進を進める旨を答えていますが、このやり取りは、市が示した方針を前提とした質疑応答にとどまっており、公立学童の対象拡大など、他の選択肢を含めて比較検討する形での議論が十分に行われたとは言い難い内容であったと考えます。

 

あわせて、高槻市の民間学童活用を基本とする方針については、学童保育の制度として、児童の継続性が十分に担保されていない点が、現在、具体的な課題として顕在化していると考えます。

 

現行制度では、公立学童保育室は原則として小学校3年生までが対象です。

 

小学校3年生の児童が4年生に進級した際に、学童保育を継続して利用できる制度上の保障はありません。

 

一方で、高学年の受け皿とされている民間学童保育室についても、定員や選考基準、事業者の運営判断によって利用の可否が左右され、必ずしも必要な時期に利用できる仕組みにはなっていません。

 

その結果、高学年になってからでは学童保育を利用できない可能性を見越して、保護者が小学校1年生の段階から、公立学童ではなく民間学童を選択せざるを得ない状況が生まれています。

 

これは、本来、高学年児童の居場所を確保するための方針であったはずが、結果として学童利用の選択を低学年の段階で固定化し、子どもの成長に応じて必要となる利用を、制度として継続的に保障するという学童保育本来の役割を、十分に果たせていない状況とも言えます。

 

そこで二問目の質問です。

 

市は、現行の「高学年は民間学童保育室で対応する」という方針のもとで、小学校3年生の児童が4年生進級後も学童保育を継続して利用できる保障がないという、制度としての継続性が担保されていない現状を、課題として認識しているのでしょうか?

 

市は、高学年になっても必要な子どもが学童を利用し続けられるよう、民間任せにせず、市として責任を持って受け皿を確保していく考えがあるのか、お聞かせください。

 

 

<答 弁>


2問目にご答弁いたします。西村議員からは、「小学校3年生の児童が4年生に進級した際に、学童保育を継続して利用できる制度上の保障はありません。」と、ご意見を頂きました。

本市におきましては、西村議員のご指摘を受けるまでもなく、4年生から6年生の高学年児童が適切な学童保育を受けられるよう、これまで全中学校区に民間学童保育室を設置するとともに、利用者が増える可能性がある地域では、新設を促すため、環境整備事業費補助を行うなど、適切に必要数を確保し、学童保育が利用できる環境を整えてまいりました。

また、学童保育のみにとらわれず、現在、小学生の居場所の確保として見守り付き校庭開放事業にも取り組んでいるところであり、このような制度全体として対応していくことが重要であると考えております。

 

<最後の意見要望>

 

最後に、意見と要望を申し上げます。

 

あらためて、学童保育とは何か、その原点に立ち返って考えました。

 

学童保育は、子どもが自由に選んで行く場所というよりも、保護者が安心して働くために、子どもを預けることができる生活インフラであると考えています。

 

高学年児童の学童利用を多くの保護者が希望している背景には、昨日まで預けることができていた学童が、進級と同時に利用できなくなり、急に「誰も見てくれなくなる」状況への不安があります。

 

そのため、保護者からは、これまで利用してきた公立学童が、高学年になっても引き続き利用できること自体が、安心して働き続けるための大きな支えになるという声も多く寄せられています。

 

民間学童保育室の設置促進により、高学年児童の居場所確保に取り組まれていることについては、理解しております。

 

しかしながら、定員や選考基準、継続利用の見通しが事業者ごとに異なる中で民間学童のみを前提とした体制では、必ずしもすべての保護者が安心して働ける状況には至っていないと感じています。

 

本日の答弁では、学童保育に限らず、小学生の居場所確保の一環として、見守り付き校庭開放事業に取り組んでいるとの説明がありました。


一方で、私のもとには、「見守り付き校庭開放は、本当に学童保育の代わりになるのか」

「保護者として安心して仕事ができるのか」

 

といった不安の声が複数の学校から寄せられています。

 

もし、見守り付き校庭開放が、学童保育に代わる選択肢として位置づけられているのであれば、その役割や利用条件、安全面、見守り体制について、市として明確に整理し、保護者に分かりやすく伝えていただきたいと考えます。

 

学童保育や居場所施策が、形式的な「居場所の確保」にとどまることなく、保護者が安心して働き続けることができる環境づくりにつながるよう、公立学童・民間学童・その他の居場所施策それぞれの役割を整理したうえで、今後の制度設計と情報発信について、引き続き検討していただくことを要望いたします。



高学年になると、学童保育を「継続して利用できる保障」は、本当にあるのでしょうか?


進級しただけで、昨日まで預けられていた学童が使えなくなる。

その不安を、制度はどこまで受け止めているのか。


今回の一般質問では、この疑問を出発点に、高学年児童の学童保育と「継続性の担保」について取り上げました。


高槻市では、低学年の学童環境は一定改善してきた一方で、高学年の預け先不足が、保護者や民間学童事業者の声から明らかになっています。


市のアンケートでは高学年ニーズは少ないとされていますが、「預け先がないため自宅を選んでいる」潜在的なニーズは十分に捉えられていません。


現在の制度では、公立学童は原則3年生まで。


4年生以降は民間学童が中心となりますが、定員や選考により、進級後も学童を継続利用できる保障はありません。


学童保育は、子どもの居場所であると同時に、保護者が安心して働くための生活インフラです。


高学年になっても必要な子どもが、必要な支援を継続して受けられる制度設計が求められています。


今後も、「進級しても安心が途切れない」学童保育の在り方について、引き続き議会で問い続けていきます。


今回の一般質問について、背景や問題意識をより分かりやすくまとめた記事をnoteにも掲載しています。詳しくはこちら


<過去の学童における地域格差の質問一覧>

令和6年 9月議会の内容はこちら

令和6年 12月議会の内容はこちら

令和7年 3月議会の内容はこちら

令和7年 6月議会の内容はこちら



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