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学童保育の地域格差について

  • 執筆者の写真: 西村ゆみ
    西村ゆみ
  • 3月26日
  • 読了時間: 8分

こんにちは


3月議会一般質問②学童保育の地域格差について


<私の質問>


9月・12月議会に引き続き、学童保育の地域格差について質問いたします。

 

これまでの議会で、同じ高槻市内であっても、通う学童によって子供の健全な育成環境に大きな格差があるという問題を指摘してきました。


その際、高槻市からの答弁は、令和4年2月に策定された「学童保育のあり方等に関する基本方針」から、「民間の学童保育室の設置を促進し、これらを活用することにより取り組んできた」でした。

 

しかしながら、本当に民間学童は公立学童の受け皿として機能しているのでしょうか?


12月議会終了後、私のもとに、「民間学童は公立学童の受け皿になっていない」と多くの声が寄せられました。


以下、一部をご紹介します。         

 

・1年生から民間学童に申し込んでいるが、入所できなかった。

・市に選考基準を問い合わせても「高槻市に準じている」との回答のみで、詳細は不明。

・校区によって民間学童の設置数にばらつきがある。

•施設によっては、設定された定員よりも少ない人数しか受け入れていない。    

•子どもの生活圏内に民間学童がなく、通わせることが難しい。

•民間学童在籍中に運営方針が突然変わり、やむを得ず退所した。

・英語などのオプションをつける人を優先的に受け入れいるシステムについて突然説明を受けて、フルタイム勤務にも関わらずオプションなしで利用できなかった

•学童側が公表している「募集人数」と、指導員の方が実際に話している「受け入れ状況」に差がある。

•利用日数や時間が少ない人が、実は優先的に選考されているのではないか?

などです。


民間学童は、それぞれの理念や運営方針に基づいています。


そのため公立学童と完全に同じ基準で運営することは難しいのが現実です。


12月議会でもお伝えしましたが、現状は、今在籍している公立学童の子供たちに我慢をさせるか、オプションサービスが多いために公立より高い利用料金を払って民間を選択するか?しか選択肢がありません。

 

つまり、民間学童が公立学童の受け皿になるという考え方自体に限界があるのではないでしょうか?


そのため、地域格差を解消するには、公立学童の臨時室を開設することが不可欠だと考えます。

 

では、なぜ民間学童の支援に頼らざるを得ないのでしょうか?


この点について、私は高槻市の学童運営状況をより明確にするために、情報公開請求を行い、過去3年分の決算を調査しました。


その結果、学童保育の利用児童数は増加しているにもかかわらず、指導員に支払われる報酬総額が減少していることが分かりました。


では、なぜ報酬総額が減っているのでしょうか?


現在、高槻市の学童保育事業は、

•資格が必要な「月額制の放課後指導員」(会計年度任用職員)

•資格不要の「時給制パートタイム職員」

 

で構成されています。

 

月額制の指導員の人数が減り、パートタイム職員が増えているのか?あるいは、そもそも働く人員自体が不足しているのか?

 

これを確認するため、子ども育成課より話を事前に伺ってきました。

 

その結果、      


 •月額制の放課後指導員が集まらず、人員不足が深刻である

•月額制の不足分をパートタイム職員で補っている    

•広報誌・ハローワーク・求人雑誌などを活用して定期的に募集をしているが、月額制の指導員はなかなか集まらない

•現在30名ほど不足している

ということです。


つまり、公立学童の臨時室を開設できないのは、「開けたくない」のではなく、「開けるだけの人員が確保できない」という根本的な問題があるのです。

 

このままでは、指導員の確保が進まない限り、子供が育成される環境は改善しません。

そこで質問です。

 

①指導員の有資格者向けのパートタイム枠を新設できませんか?

現在、1室あたり平均0.5人不足しており、1日あたり2.5時間分の不足があります。指導員の有資格者向けのパートタイム枠を設けることで、柔軟な勤務形態を整えられないでしょうか?


例えば、現在の勤務時間は「13:30~18:30」ですが、子育て中の有資格者が再就職を希望しても、18:30までの勤務では家庭との両立が難しいとの声を聞きます。そこで、「17:00~18:30のみの短時間勤務」など、より柔軟な働き方を導入できないでしょうか?


②  2年以上勤務したパートタイム職員は、指導員の資格を取得できることになります。その方を次年度以降月額制へ優先的に登用する制度など、仕組みを作ることも人員確保に有効ではないでしょうか?


学童保育の地域格差を解消するためには、公立学童の臨時室開設が必要不可欠です。そのためには、まず指導員の人員確保が最優先課題となります。

 

高槻市として、勤務条件の見直しや、指導員確保のための制度改革に取り組むお考えはあるか、ご見解をお聞かせください。


<高槻市の答弁>


学童保育室の人材確保に関するご質問についてですが、まず、本市学童保育指導員は、平日の授業終了後のほか、 土曜日や学校休業日など、学童保育室の始業時から終業時まで継続した現場運営を担うことが望ましいと考えている ことから、勤務形態については、就業要綱において、月額制の会計年度任用職員として1週間の勤務時間を29時間と規定しているところでございます。次に、学童保育指導員への優先的登用については、 学童保育指導員は、各保育室の現場運営者としての役割を担うことから、応募者の実務経験や資質等を総合的に判断するため、公募型の採用試験を実施しています。また、2年以上の実務経験がある時間額制の方に対して、学童保育指導員試験への受験案内を行うなど、引き続き学童保育指導員の確保に努めてまいります。


<2問目の質問>


私が質問した 「指導員の有資格者向けのパートタイム枠の新設」 および 「2年以上勤務したパート職員を月額制へ優先的に登用する制度の創設」 についての答弁は、現状の規定や現在の採用方法の説明に終始しており、質問に対する具体的な回答が示されていません。


臨時室の拡大以前に、すでに30人もの月額制の学童指導員が不足している ことは、事前に伺っています。


このような状況に対しても、具体的な改善策が示されないのは問題です。


これを踏まえて、次の質問をします。


「2年以上の実務経験がある時間額制の方に対して、学童保育指導員試験への受験案内を行うなど、引き続き学童保育指導員の確保に努めてまいります」 との答弁がありましたが、 具体的にどのように受験案内が行われているのか、その方法や実施状況についてお聞かせください。


子どもたちの健やかな成長を支えるためにも、また「子育てトップランナー都市」を掲げる街としても、改めて真摯な検討を求めます。


<市の答弁>


1問目のご質問にも誠意を持ってお答えしておりますが、学童保育指導員試験への受験案内については、試験の 募集要項を各学童保育室に配付し、周知を図るとともに、 各学童保育室に配属されている月額制の職員から受験資格のある時間額制の職員に対して受験を勧奨し、令和6年度は3回行いました。また、今後につきましては、月額制の職員からの受験勧奨に加え、新たに職員への一斉メールシステムを利用することにより、 募集要項を周知していく予定としており、引き続き、学童保育指導員の確保に向けた取組を進めてまいります。


<最後の要望>


受験資格のある時間額制の職員に対する受験の推奨については引き続きお願い申し上げます。


学童保育の利用が増えている背景には、共働き世帯の増加だけでなく、子どもを放課後に一人で過ごさせることへの不安感の高まりもあると考えます。


この不安感は、少子高齢化が進む中で、今後さらに増えることはあっても、減ることはないでしょう。


「子どもの数はこれから減る一方だから、そのうち学童は必要なくなる」 そう述べる方もいますが、共働き世帯が増え続ける限り、学童保育の需要が減ることはありません。


また、「人員が確保できないから詰め込みは仕方がない」という考えのもと、この問題を放置した場合、子どもたちにどのような影響があるのでしょうか。


事前に、全国学童保育連絡協議会からお話を伺いました。


「詰め込まれている子どもたちは、大人に例えるなら、毎日満員電車に揺られているようなものです。」

「子どもの数が多いと、たくさんの友達と関われるように思うかもしれませんが、実際には子ども同士の関係が希薄になりやすいのが現実です。」 •

「多くの人がいる場でも、実際に話すのは顔見知りの数人だけ。学童でも、子ども同士だけでなく、指導員との関係も親密になりにくいのです。」 •

「さらに、『事故やケガの増加』『ささいなことでのケンカの増加』といった問題も発生しています。」 とのことでした。


こうした環境では、指導員は「子どもをケガさせないように管理すること」が主な業務となり、「あれはダメ」「これはダメ」と禁止事項ばかりが増えてしまいます。


その結果、子どもたちは「自分で考えて遊ぶ」ことが難しくなり、言われたことしかできない環境になってしまうのではないでしょうか。


子どもたちと一緒に遊び、遊びを通じて信頼関係を築く。 これこそが、学童指導員の本来の役割ではないでしょうか。


一生懸命、毎日子どもたちを見守ってくださっている学童指導員の皆さんの声に、しっかり耳を傾けていただきたいと思います。


保育とは、市場原理で回るものではありません。


民間に任せればよいという考え方だけが進めば、結果的に民間学童への依存度が高まり、格差が広がることが懸念されます。


ぜひ、人手を確保するために何ができるのかを早急に検討し、臨時室の開設に向けて具体的に動いてください。


********************************


このままの状態で10年、20年と子供たちの貴重な時間だけが過ぎ去っていいのでしょうか?



高槻市の学童は、臨時室の開設以前に、そもそも30名もの月額制の職員が足りていないことが分かりました。


高槻市が「子育てトップランナー都市」を掲げるのであれば、子どもたちのために柔軟で実効性のある対策を講じて頂きたいと強く思います。


皆さん、どう思いますか?


皆さんのご意見ご感想は公式ラインよりお待ちしています







 
 
 

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