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令和7年6月議会 放課後等デイサービスの受け入れに関する高槻市の指導基準について

  • 執筆者の写真: 西村ゆみ
    西村ゆみ
  • 6月26日
  • 読了時間: 8分

こんにちは


<私の質問>


放課後等デイサービスは、主に発達障害や知的障害のある小学生から高校生を対象に、放課後や長期休暇中に療育や居場所を提供する福祉サービスです。生活能力の向上に必要な支援、社会との交流の促進、その他の便宜を供与することを目的としています。


これらの役割を通じて、放課後等デイサービスは、障害のある子どもたちが自分らしく成長し、地域社会で安心して暮らせるよう支える「社会インフラ」の一翼を担っています。


現在、高槻市の「第三次こども・子育て支援事業計画(素案)」でも、基本理念に基づく3つの基本視点の1つとして「社会全体で子育て家庭を支援する視点」が掲げられています。


しかしながら、高槻市は放課後等デイサービスを本当に「社会インフラ」として認識し、その前提に立った指導を行っているでしょうか?


私のもとには、複数の放課後等デイサービス事業所から相談が寄せられています。


その主な内容は、高槻市の福祉指導課による「定員超過に関する指導基準」が大阪市と異なっており、現場で混乱が生じているというものです。


放課後等デイサービスの運営において、基準を満たさない場合や義務づけられた業務を怠った場合には、報酬の減算が発生します。そのため、各事業所は届け出た利用定員を超えないよう細心の注意を払いながら、欠席率や家庭状況などを踏まえた調整を行い、一人ひとりに丁寧な支援を提供しています。

このような運営の実態から、契約している児童全員が毎日必ず通所するわけではなく、「利用契約数」と「実利用者数」は常に一致するわけではありません。


にもかかわらず、急な体調回復や家庭の都合等で、予定外の児童が利用することもあり、現場ではやむを得ない定員超過が起こりうるのが実情です。


こども家庭庁は、こうした現場の実態を踏まえ、一定の柔軟性を持たせています。


例えば、定員超過については「3か月連続して定員の125%を超えた場合に、翌月から報酬減算の対象となる」とされています。


この「125%」という基準について、私は事前にこども家庭庁に問い合わせました。その回答は以下のとおりです。


定員超過に対する考え方は、平成18年の自立支援法施行時に、適正なサービス提供を確保することを前提に、効率的なサービス提供を促進する観点から、定員の取扱いを柔軟化しました。一日の実利用人員が定員を上回ることを、一定の割合内で可能としたものであり、この割合の設定は、類似の報酬制度を運用している介護分野の考え方を参考にしたものです。

つまり、国としては「やむを得ない」定員超過について一定の猶予を認め、減算基準にも柔軟性を持たせて制度設計しているということです。


そこで質問です


<質問①>

高槻市においては、定員の算定にあたり「実際の利用状況」を重視しているのでしょうか? それとも「利用契約の人数」を基準としているのでしょうか?


たとえば、当日急遽出席した休みがちな児童により利用者数が定員を1名上回った場合、その1日のみが減算の対象となるのでしょうか?あるいはその月全体が減算の対象となるのでしょうか?


<市の答弁>

放課後等デイサービスにおける利用定員につきましては、国の省令において、やむを得ない事情がない限り、利用定員を超えてサービス提供を行ってはならない旨が定められており、利用契約の人数ではなく、1日に実際に利用する児童数とされています。

また、報酬の減算につきましては、定員を1名超過したとしても、直ちに適用されるものではなく、過去3か月の利用児童数の平均値が一定数を超えた場合に、適用されるものです。

なお、本市においては、独自に基準は設けておらず、国の省令等で定められた基準のもと、個々の事業所が適正に運営されるよう、丁寧に指導を行っているところでございます。



<私の質問>


先日、事前に高槻市の福祉指導課にお電話でお話を伺った際、

「やむを得ない事情として認めるのは災害や虐待に限る。欠席率は見ていない」と明言されました。


しかしこの対応は、こども家庭庁が示している「柔軟な運用方針」や、実際の現場で日常的に求められている支援ニーズと、大きく乖離しているのではないでしょうか?


実際に現場からはこんな声が届いています。


「発熱で1週間休んでいたお子さんが、急に回復して“今日行けます”と連絡がありました。定員いっぱいのため断るべきか迷いましたが、ご家庭も大変そうだったので受け入れました。その結果、1名だけ定員を超えてしまいました。


このようなケースは決して例外ではなく、欠席率や体調の波、家庭の事情などを加味しながら、日々現場は丁寧に対応しています。


本来、放課後等デイサービスは、障害のある子どもたちが安心して過ごせる「社会インフラ」であり、突発的な欠席や急な支援ニーズへの対応は日常的に発生しています。


そうした現場の努力を、制度の枠で過度に縛るのではなく、現場の柔軟性と行政運用の整合性を図ることこそが、制度の信頼性と持続可能性を高める鍵ではないでしょうか。


なお、大阪市において私が事前に担当課長とお話しした際には、令和4年6月14日付で、厚生労働省から「やむを得ず定員を超過した場合には、その日のみが減算対象となる」との通知を受け、現場に対しても、柔軟な説明と運用が行われているとのことでした。


高槻市においても、国の運用方針や他自治体の対応を踏まえ、現場の実情に即した、より柔軟で現実的な対応、指導運用への見直しを、ぜひご検討いただけないでしょうか?


たとえば、やむを得ない事情の範囲に、欠席率や通所傾向を加えること、減算対象の判定において、当日のみ適用とする考え方を現場に丁寧に周知すること、定員超過リスクを未然に防ぐため、事前相談や協議が可能な窓口を設けること


など、制度の趣旨を活かしつつ、現場の柔軟性と行政運用の整合性を両立させる仕組みづくりが必要ではないかと考えます。


市のご見解をお聞かせください。


<市の答弁>


はじめに、放課後等デイサービスにおける利用定員についてですが、国の省令等において、やむを得ない事情がない限り、定員を超えてサービス提供を行ってはならない旨が定められているため、一律に「欠席率」を見込んだ定員超過を容認することはございません。

次に、報酬の減算についてですが、1問目でご答弁申し上げたとおり、1名だけ定員を超えた場合に、その月全体に減算が適用されることはありません。1日あたりの利用人数が定員の150%を超えた場合でも、減算の対象は当該日のみとなります。これらは国の基準どおりであり、本市が独自の基準を設けて減算するような対応を行ったことはございません。

いずれの件につきましても、法令違反を許容することは困難であり、本市といたしましては、引き続き、障がいのある子どもたちが安心して適切な療育を受けられるよう、国の省令等で定められた基準のもと、丁寧に指導を行うとともに、毎年実施する集団指導等の機会に制度の周知を図るなど、適切に対応してまいります。



<最後の要望>


今回の質問を通じて、6月20日14時に高槻市役所14階の福祉指導課を訪問し、市民と行政の認識の違いについて直接確認を試みました。


しかし、障害児通所支援における定員超過利用減算の取り扱いに関する資料を3枚いただいただけで、「答弁は変更しない」との説明にとどまり、対話を重ねることできませんでした。


その後、同日16時にこども未来部の職員の方より、「なぜ今回のケースが認められなかったのか」「制度の仕組みがどうなっているのか」について、丁寧なご説明をいただき、私自身の認識に誤りがあった部分にも気づくことができました。


この経験を通じて改めて感じたのは、書面だけでは制度の背景や行政判断の根拠が十分に伝わらず、結果として市民や事業者に誤解を生じさせてしまうことがあるという現実です。


実際、私のもとには「福祉指導課は怖くて相談しにくい」といった声が複数寄せられています。そのため、分からないことを「分からない」と尋ねにくく、「たぶんこうだろう」「そう聞いた」という曖昧な情報が現場で共有される原因にもなっています。


私自身も、こども未来部の方の丁寧な説明を受けるまでは、誤った認識のままで制度を理解しておりました。


制度の意図や全体像は、対話を通じて初めて深く理解できると痛感しています。


また、高槻市内の事業所が行ったアンケートでは、以下のような声が寄せられています。


「担当者によって説明が異なる」「他市と解釈が違うが、福祉指導課に問い合わせても明確な説明がなく納得できない」「ルールの根拠が分からない。説明を求めても理解できる形で返ってこない」


なぜ、担当者によって対応や説明に差があるのでしょうか?


福祉指導課の皆さん、制度の運用や指導にあたって、実際に現場で支援を受けている子どもたちの姿や背景など、子どもの顔をみたことありますか?障害児の数だけでとらえていませんか?


福祉指導課の本来の役割は、ルールを一律に適用することだけでなく、制度の趣旨や背景を正しく伝え、市民や事業者が安心して制度を利用できるよう支えることにあると私は考えます。


そのためにも、より丁寧で対話的な対応を通じて、制度の理解促進と信頼関係の構築につながるような運用改善を、強く要望いたします。


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高槻市は、子どもの顔、見て仕事してるのでしょうか?



制度を運用する立場として、その問いを忘れないでほしいと思います。


放課後等デイサービスは、障害のある子どもたちにとって、ただの「枠」ではなく、日々の安心と成長を支える場所です。


ルールを守ることと、目の前の子どもに応じた柔軟な支援を両立できるように。


制度の趣旨を現場に正しく伝え、対話を重ねながら信頼を築く行政であってほしいと願います。


ご意見・感想は公式ラインよりお願い致します




 
 
 

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