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令和7年6月議会 義務教育学校における高槻市の教育ビジョンについて

  • 執筆者の写真: 西村ゆみ
    西村ゆみ
  • 6月26日
  • 読了時間: 7分

こんにちは


<私の質問>


現在、高槻市ではすべての小中学校に義務教育学校制度を導入しようとする動きがあります。

 

義務教育学校とは、日本の学校制度において小学校6年間、中学校3年間を一体化して、9年間の義務教育を一貫して行う学校のことです。

 

2014年の中央教育審議会で提唱され、2015年の学校教育法の改正により制度化されました。

 

その背景にある理由は 小学校から中学校への移行期に生じる「中1のギャップ」によるつまづきを減らす教育の継続性の課題、早熟化によりこどもの発達段階に応じた柔軟な教育課程への対応、施設の老朽化や少子化などその地域特有の課題への対応があげられます。

 

文部科学省は教育上の課題や地域の実情に応じての視点から義務教育学校制度の導入を進めています。

 

ではなぜ今、高槻市で義務教育学校制度の全小中学校の導入が検討されているのでしょうか?

 

令和6年5月31日から始まった高槻市学校教育審議会の資料を読むと、連携型小中一貫教育による学力向上、生徒指導面での情報共有、地域連携の促進とこれまでの成果の報告がある一方で、小中が別組織であることによる限界と、深まった連携をさらに制度として保障・持続させる仕組みの必要性があることが議事録から分かりました。

 

では今、高槻市が連携型小中一貫教育から義務教育学校へと転換しようとする目的は何でしょうか?

 

過去の審議会の資料をすべて読みこんだうえで、私は大きく分けて次の2つの目的があると考えます。

 

1点目は物理的な目的

2点目は発展的な目的

 

です。

 

まず、1点目の物理的な目的に関して、審議会の資料から、少子化や老朽校舎の建て替えなど統廃合を含む施設の再編、施設一体型になった場合の教職員や児童の導線、通学路や安全対策、地域施設との連携など非常に具体的・構造的な発言が多く、目に見える話が中心であると私は受け取りました。

 

しかしながらもう一方の発展的目的はどうでしょうか?

 

教員の連携強化や学び合い文化の醸成、異学年交流による社会性の育成、9年間を通じた継続的な学びの保障などが、一般論にすぎず、視察体験や現場の感想に基づいた個別的な発言が中心です。

 

どのような教育ビジョンにしていきたいのか?よく分かりませんでした。

 

審議会にて、視察先の職員が「既成概念をリセットできるのが義務教育学校の魅力」と発言されたとのことですが、その言葉の定義はなく、整理して明示しているものもありません。

 

義務教育学校の発展的目的は「○○である」といった言語化、合意形成に至っていないのが現状です。

 

義務教育学校の導入を市民が理解、納得をするには「物理的な目的」と、「発展的な目的」の両方が明確である必要があります。

そうでなければ市民は評価ができません。

 

<そこで質問です>

義務教育学校制度の設置に向けた「発展的な目的」について、高槻市はどのような教育ビジョンを持っていますか?教えて下さい

 

<市の答弁>


1問目の義務教育学校の設置についてご答弁申し上げます。

本市では、全中学校区で実施している連携型小中一貫教育の取組により、学力の向上など一定の成果が見られているところであり、義務教育学校の設置は、この効果をさらに高めることを目指すものです。義務教育学校では、義務教育9年間を通した一貫性のある教育課程の実施が可能となります。これにより、児童生徒は、現在の連携型小中一貫教

育と比較し、より一層系統性や連続性のある学習指導や、教科担任制によるさらに専門性の高い指導を受けることができます。また、9年間の長期的な視点に立ったきめ細かな生徒指導や、多様な人との関わりによる豊かな人間性の育成が期待できます。

このような観点から、現在、学校教育審議会において、本市における義務教育学校設置の在り方について検討いただいているところです。

 

<2問目私の質問>


連続性や専門性、人間性の育成といった点は理解できますが、いずれも一般的な理念にとどまっており、私が伺っているのは、「高槻市が義務教育学校でどのような教育を展開しようとしているのか」という具体的な中身です。

 

もちろん、現在はまだ検討段階であり、すべてが固まっていないことは承知しております。

 

そのうえでお伺いします。

 

現時点で想定されている方向性として、

・小中9年間を通じて、どのような力の育成を目指しているのか?

・その力を育むために、どのようなカリキュラムや時間割の工夫が議論されているのか?

・異学年交流や教科横断、探究的な学びなどの要素を取り入れる構想があるのか?

 

このような「育てたい力」×「学びの方法」の組み合わせとして、教育の方向性を市民と共有していくことが、制度導入に向けた市民との信頼形成につながると考えます。

 

また、制度導入にあたっては、地域住民や保護者の理解と納得が不可欠です。

今後、どのように情報提供や対話の機会を設け、丁寧に合意形成を進めていくお考えか、併せてお聞かせください。

 

<市の答弁>


2問目についてご答弁申し上げます。

本市では、第2期高槻市教育振興基本計画において、高槻の教育がめざす社会像や子ども像を掲げるとともに、社会参画力を子どもたちが身に付けられるよう、4つの「つけたい力」を設定しています。学校教育審議会では、このような本市の現状を踏まえた義務教育学校設置の在り方について、調査・審議を進めていただいているところです。

当審議会は、学識経験者をはじめ、関係団体の代表者、保護者、教職員、市民で構成されており、さまざまな立場からご意見をいただいています。市ホームページにおいては、審

ころであり、義務教育学校の設置にあたっては、引き続き保護者や地域住民等の十分な理解や協力を得ながら進めていきたいと考えています。

 

 

<最後の要望> 

 

現在の説明だけでは、多くの市民にとって、「義務教育学校とは何か」「高槻市がなぜこの制度を導入するのか」が、十分に伝わっていないのが現状ではないでしょう?

 

 義務教育学校の制度導入が、高槻市の子どもたちの「豊かな未来の形成」につながるのか? 

 

この問いに対して、行政として明確なビジョンを持ち、伝える責任があると私は思います。 

 

義務教育学校の導入が単なる「小中一貫」という物理的な仕組みの変更にとどまるのではなく、どんな教育の一貫性や可能性を生むのか。 

 

例えば、小1から英語やICT教育を系統的に育て、グローバルに活躍できる人材を育む、数理探究や理科実験などを一貫して育て、理系に強い人材を育成する地域と連携した探究学習やキャリア教育で、郷土に根ざした人づくりを進める など、義務教育学校だからこそ可能になる“未来の教育”の方向性を、もっと具体的に市民に示していただけないでしょうか? 

 

今はどうしても、校舎配置や統廃合のといった物理的な課題ばかりがクローズアップされがちですが、行政に求められるのは、今の課題に向き合う姿勢と同時に未来の子供たちへの責任を果たすことでもあります。

 

 義務教育学校という制度を通じて、高槻の教育がどんな未来をめざすのか?ぜひそのビジョンを市民に分かりやすく説明してください。 


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義務教育学校に変わることで、何が変わるのか?

皆さんは、イメージできますか?


校舎の配置や統廃合など、目に見える“物理的な変化”ばかりが注目されがちですが、

子どもたちの「豊かな未来」につながる変化は、どこにあるのでしょうか


制度は、あくまで“手段”です。


その先にある「どんな教育を、どんなふうに実現したいのか」が見えてこなければ、

多くの市民にとって、納得のいく説明にはなりません。


高槻の未来を担う子どもたちのために、

いま一度、制度の「目的」と「ビジョン」について、丁寧な議論がなされることを願っています。


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